「脳内ニューヨーク」

劇作家のケイデンは原因不明の病気におかされ、夫婦仲もうまくいかない。ついに妻が子供を連れて出て行ってしまう。失意のどん底のにいたケイデンにマッカーサー・フェロー賞の受賞の知らせが届く。大金と名誉を手に入れたケイデンは、自分の人生を賭けて舞台制作に挑むのであった。

すごいおもしろかった。でもネットでは評判悪いのね。私はチャーリー・カウフマンのファンだからしょうがないか。

確かにこの映画わかりにくい。あふれんばかりの情報がこれでもか。と目の前を流れていきます。情報が多いわりにあきらかにカット足りてないだろ。と突っ込みを入れたくなることもありますが、カウフマンの初監督作品だしおおめに見ましょう。

映画の後半ケイデンが自伝的な舞台を制作するあたりからストーリーは2重構造になり、しまいには現実と舞台がお互いを侵食しあってわけがわからなくなります。このへんはカウフマン・マジックです。理解しようとしないで映像に身を任せましょう。

とにかくケイデンの人生がみじめったらしい。奥さんには逃げられるは、17年たっても芝居を完成させられないは、女性にだらしないは、別れた奥さんのストーカーをするは・・・

ただ最後にケイデンが母親役の女性に「子供の頃ピクニックに行ってお弁当を食べたかった」そんなことを言うんですよ。それはTVのCMの映像で。ここまでくるともう現実なのか芝居なのか妄想なのかごちゃごちゃなんだけどほんと幸福なショットだった。人生いろいろ大変だけど生きる価値あるよなと思った。

ネガティブ要素満載の映画なんだけど最後にぽっとポジティブになれるそんな映画です。